夜に旗を振る

※音楽とか文房具の話とか。個人の感想です。

蜷川実花 写真展 「floating yesterday」@ 代官山 SPEAK F O R


土曜はだらだら昼まで寝てから竹橋のドイツとどちらにいくか迷って代官山に行くことにした。散達も特集してるしね。中目黒から歩いてくろひつじ(肉食べたい……)を通り過ぎ坂の上のモンスーンカフェで準備中の結婚式を見ながら(カフェ系ミュージックやラップ&タップが見られてちょっと得した)ご飯を食べた。西郷山公園には首の無いキリンがいた。代官山インスタレーション*1をやってたらしい。


どぎつい色彩で女の子やヅカを撮った最近の作品は性に合わなかったけど、「floating yesterday」は、これまでで一番好きな作品になりそうだ。「Pink Rose Suite」*2や「Baby Blue Sky」*3に近い乾いた色合いの写真が多いが、これまでよりも、そこから孤独や寂寥が強く感じられていた。被写体がきれい・かわいいとか、ニナガワカラーの発色の具合とか、そういった物体としての評価を拒否し、この写真を撮った人はそのとき自分の中に何を見ていたのかばかりを考えさせられてしまうのだ。
"自分と対象物の間の境界が無くなる"と前書きにあったが、境界の消滅を感じるには境界の存在を知らなければならない。一個の感情を持った存在としての自分と、それ以外の、この世のすべてのものとの間の埋められない断絶を受け入れて、断絶を前提として世界を見る。境界を存在せしめるには、同化していない自己が必要だ。対峙している己の孤独。孤だからこそ対象と向かい合うことができる。被写体と一体になろうとするほど、映り込む自分に意識が向いていく。孤独は負ではない。一人だから対象の存在がわかるのだ。いつになくまじめなことを思いながら会場を後にした。


今週いっぱいなのでまだの人はお早めに。


  >> http://www.ninamika.com/home/floating-popup.html



"私を見て見て"と過剰に要求するWebに散乱した写真日記とは全然違うんだよなぁ、そりゃ当然だ。